時代の需要に即して変化してきた金型屋が、初めて開発に挑戦した自社製品。フジハラウインテック
そんな逆境の中、プラスチック製のマスクの生産を始めた金属加工会社がある。これまでプラスチックを成型する金型をメインに作り続けてきた株式会社フジハラウインテック(以下、フジハラウインテック)だ。金型の需要が減少する中、プラスチック金型屋として何ができるかを考え、プラスチック製の抗菌マスク「WinFit」の開発に挑戦した。
請負の仕事から、自社製品の開発へと舵を切ったフジハラウインテック。その背景には創業当初から変わらぬ精神が刻まれていた。
メインはプラスチックの金型屋。コロナ禍で初めて自社開発のマスクをつくる
金型とは、金属やプラスチックの部品を製造する際に使われる型のこと。フジハラウインテックでは上下で金属をプレスして成型する「鍛造金型」と、型にプラスチックを流し入れて成型する「プラスチック射出成型用金型」の製造を行っている。
仕事の全体量が減る中、テレビの報道でマスクが不足していることを知る。「国内の技術力でマスクを作れないものか」と考え、思いついたのが、エラストマーと呼ばれるプラスチックの一種を素材に用いたマスクだった。エラストマーとは、一般的にはドライバーのグリップや歯ブラシの柄等に使われており、ゴムのように弾性や伸縮性のある素材である。デザインから設計へ落とし込み、金型を製作すると、今まで金型の発注を出してくれていた成型業者へエラストマーの成型を依頼。元々は金型を発注してくれていた恩人のような会社だった。ずっとお世話になっていたからこそ、今までと逆の商流で、恩返しする機会になった。
「気付いたら、間口が広がっていた」。金属加工から、金型をつくる会社へ
直接金型を扱う人と取引をすると、「ここをこうしてくれ」と相談を受けるようになるので、できる範囲が少しずつ広がっていった。ドライバーの持ち手のように金型に金属を入れてその周りにプラスチックを射出して加工したりする、より複雑な加工を要求される場面も増えていった。
自分で仕事をつくることが、自分たちの喜びにも繋がる
「普段は見えない金属部品がどのように作られているか一般的には分からないと思うんです。でも、そこで機械や工程を見せることで愛着を持ってもらえるんじゃないかと。『若い人にも目を向けてほしい』その一心でした」
入社以来、自社で技術を学びながら、マスク開発やインターネットを活用した認知拡大に取り組む誠也さん。時代の需要に即して変化してきたフジハラウインテックの精神は、初代から政志さん、そして誠也さんへと確実に受け継がれていた。
金属加工の幅を広げた、これからの世代の金型屋の仕事が楽しみだ。
1 好きなものはなんですか?
政志さん(社長):家族
誠也さん:スポーツ(ゴルフ・サーフィン)、やったコトがないスポーツに挑戦したい
2 好きなコトはなんですか?
政志さん(社長):仲間とお酒を飲んでいるとき
誠也さん:筋トレ
3 楽しい!と感じる瞬間はどんなとき?
政志さん(社長):ゴルフのスコアが良かったとき
誠也さん:新しい仕事を覚えたとき
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